「バックテストでは毎月プラスだったのに、デモ運用を始めた途端にマイナスが増えた」。このギャップに悩むEA運用者は少なくありません。原因の多くは、バックテストで使っているスプレッドの設定にあります。
MT4のバックテストは基本的に「固定スプレッド」で動作します。しかし現実のスプレッドは時間帯によって変動し、ロールオーバー時刻や経済指標発表時には大きく広がります。この差が、EAの期待値を静かに削っていくのです。
当サイトの監査実録でも、固定スプレッド前提のバックテストと実運用の間に無視できない利益差が確認されています。本記事では、その差を時間帯別に測る方法と、口座選びに活かすポイントを解説します。
この記事でわかること
- バックテストの固定スプレッドと実運用の変動スプレッドの違い
- 時間帯別のスプレッド変動をMT4で測る具体的な手順
- スプレッド設定1pipの差がEAの年間利益に与える影響
- 口座選びで比較すべき3つのスプレッド指標
バックテストのスプレッド設定が作る「安全な嘘」

バックテストの結果が実運用より良く見えるのは、スプレッドを固定値で計算しているからです。MT4のStrategy Testerでは「Current spread」か手動入力の固定値が使われ、時間によって広がるスプレッドが再現されません。
たとえばEURUSDのバックテストで固定1.0pipを設定したとします。しかし現実のスプレッドは、東京時間で0.5pip、ロンドンオープン直後で1.5pip、ロールオーバー時で3.0pip以上と変動します。平均すれば1.0pip前後かもしれませんが、EAがエントリーする時間帯のスプレッド次第で、実コストは全く異なります。
特にスキャルピング系のEAでは、エントリー頻度が高いほどスプレッド変動の影響を受けます。1回のトレードで0.5pipの誤差が出ても、年間1000回のトレードがあれば500pip、つまり500ドル(1lotあたり)の利益差になります。バックテストのスプレッド設定一つで、年間利益が変わるのです。
時間帯別スプレッドを実測する3つの方法

自分の口座で実際のスプレッドが時間帯別にどう動くかを測る方法を3つ紹介します。どれもMT4標準機能で実行できます。
方法1: MT4の気配値表示で手動記録
MT4の「気配値表示」ウィンドウを見ると、Bid/Askの差がリアルタイムでわかります。これを各時間帯で手動記録します。最低でも以下の時間帯を確認してください。
- 東京時間(9:00〜)のスプレッド
- ロンドンオープン直後(17:00〜18:00)のスプレッド
- ニューヨークオープン(22:00〜)のスプレッド
- ロールオーバー時刻(翌日6:00前後)のスプレッド
手動記録は地道ですが、自分の口座の実態を直接確認できるため、最も確実な方法です。1週間記録すれば、おおむねの傾向が見えてきます。
方法2: スプレッドロギング用インジケータを設置
MQL4でスプレッドを一定間隔で記録するインジケータを書けば、24時間自動でデータが取れます。コードは20行程度で書け、ファイル出力でCSVに記録するだけのシンプルなものでも十分使えます。
当サイトの監査では、この方法で2週間分のスプレッド推移を記録し、EAのエントリー時間帯と照合しています。バックテストで設定したスプレッドと、実運用の平均スプレッドの差が一目でわかります。
方法3: デモ口座でバックテストと同じEAを並走
バックテストの結果と、デモ口座での実際の運用結果を並行して取ります。両者の利益差が「スプレッド差+スリッページ」です。この差がバックテストの利益の10%以上を占める場合、スプレッド設定が楽観すぎたと判断できます。
この方法は最も実運用に近いですが、デモ口座のスプレッドが本番口座と異なる場合がある点に注意が必要です。あくまで目安として使います。
実測データで見るスプレッドの壁

上の図は、固定スプレッド(平らな線)と実際の変動スプレッド(波線)を24時間で比較したイメージです。変動スプレッドはロールオーバー時刻に大きく跳ね上がり、東京時間中は低く安定しています。
当サイトの監査実録(匿名化データ)では、以下のようなパターンがよく見られます。
| 時間帯 | 平均スプレッド | バックテスト設定との差 |
|---|---|---|
| 東京時間(9:00〜15:00) | 0.6pip | -0.4pip(設定より狭い) |
| ロンドンオープン(17:00〜) | 1.8pip | +0.8pip |
| ロールオーバー(6:00前後) | 3.5pip | +2.5pip |
| 指標発表直後 | 5.0pip以上 | +4.0pip以上 |
この表が示す重要な事実は、「バックテストで1.0pip固定に設定すると、東京時間は実コストより高く、ロンドン以降は実コストより安く計算される」ということです。EAのエントリー時間帯によって、バックテストの結果が楽観にも悲観にもなります。
たとえば東京時間メインのEAなら、バックテストの1.0pipは実際より0.4pip広く設定していることになります。つまり、実運用のほうがスプレッドが狭い=バックテストより良くなる可能性があります。逆に、ロンドン時間に頻繁にエントリーするEAでは、実コストのほうが0.8pip広く、バックテストの利益が過大評価されていることになります。
口座選びで比較すべき3つのスプレッド指標
スプレッド比較でよくある失敗は「最小スプレッド」だけを見ることです。EA運用に重要なのは、自分のEAが動く時間帯の「平均スプレッド」と「最大スプレッド」です。以下の3つを比較してください。
指標1: 平均スプレッド(EAの稼働時間帯)
EAがエントリーする時間帯の平均スプレッドを、複数の口座で比較します。口座比較サイトの「平均スプレッド」は24時間全体の平均なので、EAの稼働時間帯とはズレます。必ず自分のEAが動く時間帯で測り直してください。
指標2: 最大スプレッド(ロールオーバー時)とEAの稼働時間の重なり
ロールオーバー時刻(サーバー時間によって異なる)のスプレッド拡大は、全通貨で発生します。EAが24時間稼働する場合、ロールオーバー時に意図せずエントリー・決済してしまうと、想定外のコストが乗ります。EAの稼働時間とロールオーバー時刻の重なりを確認してください。
指標3: スプレッドの安定性(標準偏差)
平均スプレッドが同じでも、安定している口座と頻繁に広がる口座では、EAの結果が違います。安定している口座のほうが、スプレッド変動による予測不能な損失を避けやすくなります。スプレッドの標準偏差(ばらつき)を記録していれば、口座間の比較に使えます。
実際に検証してわかった失敗しやすいポイント
当サイトの監査実録で繰り返し見てきた失敗パターンを3つ紹介します。
失敗1: バックテストのスプレッドを0に設定
MT4のバックテストで「スプレッド0」でテストするEA作者がいます。これは「理想条件下のポテンシャルを見る」という意図かもしれませんが、投資判断の材料には使えません。実運用でスプレッド0の口座は存在しないからです。必ず実運用の平均スプレッドに近い値を設定してください。
失敗2: デモ口座のスプレッドを本番と同じと仮定
デモ口座のスプレッドは本番口座と異なることがあります。ある口座ではデモのほうが狭く、別の口座ではデモのほうが広いケースがありました。デモと本番のスプレッド差を確認せずにデモ結果を信用すると、本番で予想外の結果になります。デモ運用の前に、本番口座のスプレッドを記録しておきましょう。
失敗3: スワップフリー口座でスワップを無視
スワップフリー口座(イスラム口座)ではスワップコストが発生しないため、スワップ会計を気にしない運用者がいます。しかしスワップフリーでも、ポジションを長期保有する場合は代わりのコストがかかる場合があります(口座維持費や別の手数料形態)。スワップフリーは万能ではなく、「保有日数と通貨ペア」をセットで確認してください。
バックテストを現実に近づける3つの手順
今日からできる、バックテストの精度を上げる手順をまとめます。
- 手順1: 自分の口座で2週間、時間帯別のスプレッドを記録する(手動またはインジケータ)
- 手順2: EAのエントリー時間帯の平均スプレッドを算出し、その値をバックテストの固定スプレッドに設定する
- 手順3: ロールオーバー時刻にEAがエントリーしないよう、時間フィルタの見直しをする
手順3は特に重要です。多くのEAには時間フィルタがありますが、ロールオーバー時刻を明示的に除外していないケースが少なくありません。EAのパラメータで「指定時間の取引禁止」を設定できる場合、サーバー時間のロールオーバー前後5分を除外するだけで、想定外のスリッページを減らせます。
まとめ: コストを見える化してから口座を選ぶ
スプレッドは口座選びの最重要要素の一つですが、「最小スプレッド」という数字だけでは判断できません。自分のEAが動く時間帯の平均・最大・安定性を測り、バックテストの設定と照らすことで、初めて実運用に近い予測が立ちます。
まずは自分の口座で2週間、スプレッドを記録してみてください。そのデータを見れば、バックテストと実運用の利益差の原因が見えてくるはずです。
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XMはEA運用で人気の海外口座の一つで、KIWAMI極口座では一部通貨のスプレッドが狭く設定されています。スワップフリー対応(一部通貨)も提供しており、スワップコストを気にせず両方向運用を試したいEA運用者に選ばれています。
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FXTFは国内FX口座で、MT4対応・低スプレッドを特徴としています。EA運用を始める際、海外口座と国内口座を用途別に使い分ける選択肢の一つとして検討できます。
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